おしゃべりカフェ「今、安心して食べられますか?」開催 その2

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日時:2011年5月31日(火)13:30~15:30
場所:さいたま市市民活動サポートセンター・多目的展示コーナー
コメンテーター:
埼玉県・農林部農産物安全課 副課長・根岸さん(野菜について)
埼玉県・農林部畜産安全課 副課長・岩田さん(牛乳について)
埼玉県・企業局水道管理課 副課長・松本さん、技師・川崎さん(水について)
主催:くらし探検くらぶその1で当日の様子をお知らせしましたが、今回は話し合われた内容をかいつまんでお知らせします。なお、状況は刻々と変わっていますので、カフェ当日の解説とリンク先の最新情報が異なった場合、リンク先の情報を優先してお読みください。解説編放射性物質による農畜産物の影響調査について
埼玉県・農林部農産物安全課 副課長・根岸さん)
埼玉県・農林部畜産安全課 副課長・岩田さん)1.農畜産物の調査農水省と連携して実施している
(1)調査頻度:週1回(火曜日にサンプル採取し、木曜日に結果をもらって公表)
(2)品目:ほうれん草、小松菜、水菜、原乳と、その他必要に応じて農水省と調整
(3)サンプリング:生産者さんと連携してサンプリング
(4)分析機関:財団法人日本食品分析センター・多摩研究所
(5)分析結果:3/20から14回にわたり、計13品目124検体を調査した。
すべての検体で、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに暫定規制値を
下回り、現状では安定的に推移している。(5/26現在)2.土壌の調査国と連携して実施している
(1)採取日:3/29および3/30
(2)サンプリング:県内4カ所(県管理のほ場など)
(3)分析機関:独立行政法人農業環境技術研究所(つくば市)
(4)分析結果:すべての地点で国の定めた稲の作付制限に係る上限値を下回る。

3.牧草の調査

国が暫定許容値を示したことを受け、実施。隔週で調査を継続中。
(1)採取日:4/22、5/6、5/13、5/20
(2)サンプリング:県内3カ所(県管理ほ場)
(3)分析機関:独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC・さいたま市)
(4)分析結果:4/22採取の一部試料で放射性ヨウ素と放射性セシウムが暫定
許容値を上回ったが、5/6以降、すべての検査で暫定許容値を下回る。
このため、県内全域の牧草等の利用・放牧についての自粛を解除した。

水道水の放射性物質の測定について
埼玉県・企業局水道管理課 副課長・松本さん、技師・川崎さん)

1.埼玉県営浄水場について
大久保浄水場/庄和浄水場/行田浄水場/新三郷浄水場/吉見浄水場

2.埼玉県営浄水場の水処理工程について

3.新三郷浄水場の高度処理について

4.放射性物質検出状況について
(1)経緯
3/12 福島第一原発1号機爆発事故
3/16 福島市の水道水から放射性ヨウ素と放射性セシウムを検出
3/18 埼玉県衛生研究所がさいたま市の水道水(大久保)の放射性物質を
検査開始
3/23 大久保浄水場以外の浄水場の水道水の放射性物質を順次測定開始
(2)国による指標値等
・原子力安全委員会指標値 ヨウ素 300Bq/kg、セシウム 200Bq/kg
・乳児飲用の暫定規制値 ヨウ素 100Bq/kg
(3)企業局の対応
・県営5浄水場の給水区域の蛇口で毎日測定し、ホームページで公表している
・浄水場では、放射性ヨウ素を除去する効果がある粉末活性炭を注入
している
・測定値が規制値を超えた場合は、すみやかに報道発表し、ペットボトル等
を配布する
・衛生研究所の他に、水質管理センターに測定機器を導入する
(4)放射性物質の降下物量と水道水の測定結果
・最近は不検出または低レベルで推移している

質疑応答編は以下をご覧ください。

質疑応答編
Q:質問、C:意見、R:要求、A:回答
全体
C.今後、放射性物質の影響が大きくなることがあった場合、検査の結果がわかってからの対応がむずかしいですね。食べたり飲んだりした後に結果が分かったりしたらどうしたら良いのでしょう。
Q.測定―発表―市場からの回収―摂取までにタイムラグがありますが、その間に食べたり飲んだりした場合、大丈夫でしょうか?
A.難しい質問ですね。検査してわかった段階で出荷自粛をお願いしています。市場に出たものは回収をお願いします。タイムラグの中で食べてしまったものについてですが、1~2度食べただけというより、食べ続けた場合を想定しているものなので、実際の影響は小さいと考えます。
放射線が放出されれば、最初に大気中の放射線が検出されます。それを監視していれば、その後の農畜産物の予測ができます。
Q.今回の原発事故があったから、放射性物質の検査をしたのですか?それとも、今までも定期的に検査していたのですか?以前も放射線は検出されたのですか?
A.水道関係は今までも年に1~2回測定していました。これは国全体の動きです。結果は全く検出されていませんでした。精密度も最高レベルでやっていました。
農畜産物は特にやっていませんでした。想定され得なかったということです。一部輸入品に関して、国によって規制はありました。検疫所に機器はありましたが、まさか自国で起きるとは思いませんでした。
Q.東京都が3/18~4/11の「人が水や食物から受ける放射線量」を発表していますが、埼玉県も発表がありますか?(ヨウ素131+セシウム137・134=9.53マイクロシーベルト)
A.特に埼玉県でシーベルト関係の公表はしていません。
C.みなさまのご尽力により、私たちは安心して食べたり飲んだりしていいよ!ということでしょーか。
Q.「ただちに影響がない」という「ただちに」がよくわかりません。「ただちに」ないとしたら、どうなった場合には影響があるのでしょうか?
A.現在は国も「ただちに」という言い方をしていません。1年間農産物を食べ続けた場合の安全を考えて、厳しく規定しています。いろいろな誤解を生むということで5月からメッセージに「ただちに」ということばを使わなくなりました。
水道では「長期にわたって」という言葉を使っていますが、長期は1年間と考えています。
Q.放射性物質について、加工食品の原材料の安全性はどう確保するのですか?加工食品への影響はどのくらい心配したら良いですか?
A.直接の基準値はありません。原料となる農畜産物の検査をして、その段階で1品目でも基準値を超えれば出荷停止になります。各都道府県が原料の安全性を確保していれば大丈夫です。

Q.5つの浄水場のうち、高度処理の浄水場は新三郷以外にあるのでしょうか?新三郷以外の浄水場にオゾン導入は検討しているのですか?
A.江戸川の最下流で源水の水質の良くない新三郷でまずやってみることにしましたが、新三郷浄水場を造るために数百億円かかりました。他の浄水場では導入していません。直接水道料金に影響することですので、それぞれの浄水場の水質に合った方法で安全な水道水を供給できるよう検討しています。

Q.朝霞浄水場の水は東京都に行っています。地元の私たちは大久保浄水場の水を利用しているのでしょうか?(でしたら、安心して使用します。)
A.そのとおりです。安心して飲んでください。

Q.3/18大久保浄水場の放射性物質を検査したとのことですが、飲む人数が多いから最初に検査したのですか?3/23に検査した行田、吉見、庄和浄水場の方が東北に近いのではないですか?
A.国からまず1カ所測れとの指示が来たので、大久保浄水場を測りました。測定機器が限られていたので、出足が遅れてしまいましたが、今では衛生研究所に全浄水場の検査をお願いしています。

Q.水道水の測定結果について、24日に新三郷浄水場がすごく高く、大久保浄水場はそれほどの高さに達していない理由はなぜでしょうか?
A.厚労省が各地のデータを集めてわかったことのひとつなのですが、放射性物質の濃度が水の中で均一ではないことがわかりました。同じところで測っても測定結果が変わることもありえます。また、河川がどの水系かということも影響してきます。様々な要素が関係してきていると考えられますので、正確なことは申し上げられません。

Q.雨水の心配はいつまですれば良いと思いますか?
A.雨や塵などの降下物に含まれている放射性物質の濃度もだいぶ下がってきていて、不検出の日も続いています。大元の原発事故が収束していませんので、ご心配だとは思いますが、4月の時点で平常の値に戻ってきている状態です。
3/14の爆発で関東地方に高濃度の放射性物質が風に乗って飛んできましたが、それ以降は測定結果が示すとおりです。ご心配でしたら、インターネットで降下物量を発表していますので、ご覧ください。

Q.水道水の安全性が確保できない場合に、断水等を検討しているのですか?
A.我々は各自治体(市町村)に水を供給していますが、市町村では我々の水の他に地下水をくみ上げて使っています。地下水はどちらかというと安全だと言われ、地下水による飲み水確保ができる自治体もあると考えています。
我々は乳児(1歳未満)に対してペットボトルの水をできる限りあげられるよう、各自治体に配布するために何万本か備蓄しています。いちど30,000本のペットボトルを配布しましたが、さらに蓄えています。
また、飲み水が他になければ飲んでくださいと、厚労省から言われています。これは、危険ではないということではなく、水を飲まないでいることの方が人体には危険だということです。
我々や市町村の水は、消火栓で火事の時に使う水でもあります。従って、すぐに断水をすると支障が出ますので、数値が著しく高くならない限り水を送り続けます。お風呂などの直接飲む水以外の水はあまり気にしなくても良いです。

Q.放射性ヨウ素を除去する粉末活性炭を注入していますが、セシウムへの対策はどうですか?
A.原発事故もなく文献データも少なかったのですが、粉末活性炭は経験的に放射性ヨウ素の除去効果があるとわかっています。セシウムの方は粉末活性炭でも凝集沈殿で泥といっしょに落ちるとわかってきたところで、通常処理で取り除けるだろうと考えています。

Q.水のspotの測定値と蓄積量の関係は?
A.測定値はベクレル表示をしていますが、蓄積量(被曝量:シーベルト)は換算式があります。詳しくは我々にお問合せください。

R.水のヨウ素の蓄積について混同した議論がなされているようなので、整理していただきたい。
A.放射性ヨウ素と放射性セシウムの半減期が違うことで混同されることがあるようです。

Q.ヨウ素、セシウム以外の放射性物質の測定は検討しているのでしょうか?
A.ヨウ素もセシウムもガンマ(γ)線という放射線を放出します。ガンマ線を放出する他の物質なら測定可能なのですが、今のところ検出されていません。アルファ(α)線やベータ(β)線を放出する物質ですと測定機器が別に必要です。埼玉県には測定機器がありませんので、現在は測れない状態です。

Q.以前、乳児対象にペットボトルの水を配りましたが、乳児と幼児の境目で心配しているお母さんがいます。幼児ならお水は大丈夫という理屈はどこから来ているのですか?
A.乳児だけ1/3の100ベクレルという数値を出しました。これは甲状腺の摂取能力の問題です。1年未満の子どもは特に摂取能力が高いということで出されました。

牧草

Q.検査した牧草以外の飼料は、放射性物質の心配はないのですか?
A.現在検査している飼料はイタリアン・ライグラスというイネ科の牧草です。年間を通して採れます(年3回くらい)。まず、4月下旬~5月初頭に採れ、次に夏場に1回、秋口に1回です。乳牛や肉用牛にそれを与えます。埼玉県には牧草を作っている農家が少なく、自給率が低いのが現状です。
ほとんどの畜産農家さんは輸入牧草、輸入乾草をアメリカやオーストラリアから買って与えています。それらは検査する必要がないので、結果として自分のところで作っているイタリアン・ライグラスを検査すれば危険度を測れると考えています。

Q.3/12の爆発後から、4/22が初めての牧草検査ということですが、なぜもっと早くから検査できなかったのですか?
A.牧草の収穫時期の問題で、それ以前にはまだ刈り取りが始まっていませんでした。連休明けくらいから刈り取り、乾燥させ、白いラップで丸める(サイレージ)等の収穫を始めましたので、収穫が始まる前にということで検査を開始し、継続しています。これを10月~11月頃までやれば今年度の分は終わりになります。

農畜産物

Q.県できちんと検査していただいて安心しました。他の県でも同じように検査しているのですか?(検体数や農産物の種類)
A.厚労省が毎日、都道府県別に公表しています。超過品目=暫定規制値を超えたものです。超えると出荷自粛が始まり、国の指示を受けて出荷制限(農家が販売のために出荷するのはやめてください)、特に濃度の高いものについては摂取制限(自家用や家庭菜園も含め、食べないでください)の措置がとられます。
埼玉県は幸いにも184件の内、超過品目はありません。埼玉県独自がやっている他に、新潟県が埼玉県産の野菜も検査しているので、合わせて報告されています。

Q.先日、福島県で梅でセシウムが検出されたと聞きましたが、きのこ以外にも放射性物質を取り込みやすい農産物はわかっているのですか?
A.しいたけは福島県で検出されたので、埼玉県でもやってみたのですが、微量または検出せずという結果でした。特に取り込みやすい野菜というものは聞いていませんが、外部付着ということを考えて表面積の大きい葉もの野菜を取り扱ってきました。まだこのような事故の事例がないため、情報が入り次第、みなさまにも公表したいと思っています。

Q.朝霞の野菜は安心でしょうか?地産農家の野菜をなるべく摂るようにしているので。
A.今までやってきた中で、まだ朝霞の野菜は検査していません。今まで近隣の狭山市や所沢市、川越市の葉もの野菜中心の検査では、いちども暫定規制値をオーバーしたものはありませんので、ご安心ください。
また、6月以降は我々も定点的な調査から地域を広げて、農協さんとも相談しながら、その時期の野菜をやっていきたいと思っています。

Q.公園の土や小学校の土などを子どもたちは口に入れやすいのにも関わらず、土壌検査をしないのですか?
A.私の担当外ですが(縦割り行政で申し訳ありません)、大気については県内100ヵ所で検査をしていくと聞いています。公園の土壌についてはご意見があったことを担当部署に伝えていきたいと思っています。

Q.農畜産物の検査について、10~12点検査した結果が暫定基準値を下回った場合=すべての県産農畜産物が安全という分析結果とはなりません。産地を変えて検査したらどうでしょうか?産地外の農畜産物について、受けとめる側は不安です。
A.今までは定点調査をしてきましたが、これからはいろいろな産地・品目もやって行きたいと思います。

Q.6月以降の調査頻度は今までと同じでしょうか?
A.今までと同じ週1回10~12品目のペースでやっていきます。

Q.農畜産物の検査方法は、サンプル処理や検体数など、充分であると思われますか?
A.我々は自前で検査体制を持っていませんが、今後検査体制を充実していく予定です。夏以降、体制が整えば、農畜産物も検査するという想定で、民間検査機関も合わせて検査数を増やしていければと思っています。そしてそれを発信していくことが我々の指命だと思っています。

Q.検査を外部機関に委託していますが、今後、県独自の検査態勢を検討していますか?
A.想定はしています。

Q.サンプル採取、検査に関して、県の担当者はどの程度理解・把握されていますか?また、第三者(一般市民等)の立ち会い・公開は行われていますか?
A.サンプル採取は、最初は国の職員が直接やっていました。現在は県の出先機関の者がやっています。
そこに農協職員、市町村職員、生産者も立ち会いを行っています。中立な立場の者が自ら採取して、直ちに検査機関に送っています。